繊維商社のツカモト株式会社(証券コード:8025)は、2025年5月8日、2025年3月期の連結業績予想を下方修正し、最終損益が赤字に転落する見通しを発表しました。また、特別損失の計上も明らかにされ、投資家の間で同社の今後の経営戦略に注目が集まっています。
業績予想の修正内容
ツカモトは、2025年3月期の連結業績予想を以下の通り修正しました。
- 売上高:従来予想の1,200億円から1,150億円へ(前期比▲4.2%)
- 営業利益:従来予想の30億円から20億円へ(前期比▲33.3%)
- 経常利益:従来予想の28億円から18億円へ(前期比▲35.7%)
- 当期純利益:従来予想の15億円の黒字から5億円の赤字へ(前期比▲133.3%)
この修正は、主に繊維事業における需要の減少や原材料価格の高騰、為替変動の影響による収益性の低下が要因とされています。特に、主要取引先からの受注減少や在庫調整の影響が大きく、売上高の減少につながりました。
特別損失の計上
同社は、2025年3月期において、以下の特別損失を計上することを発表しました。
- 固定資産の減損損失:老朽化した設備の減損処理により、約10億円の損失を計上。
- 投資有価証券評価損:保有する投資有価証券の評価損として、約5億円を計上。
これらの特別損失の計上により、当期純利益は従来予想の黒字から赤字に転落する見通しとなりました。
市場の反応と今後の展望
今回の業績予想の下方修正と特別損失の計上を受けて、投資家の間ではツカモトの経営戦略に対する懸念が高まっています。特に、繊維業界全体の需要減少や価格競争の激化が続く中で、同社がどのように収益性を回復させるかが注目されています。
アナリストからは、「ツカモトは、繊維事業の構造改革や新規事業への参入など、抜本的な経営改革が求められる局面にある」との指摘が出ています。また、海外市場への展開やデジタル化の推進など、新たな成長戦略の策定が急務とされています。
一方で、同社は財務基盤が比較的安定しており、自己資本比率も健全な水準を維持しています。これにより、今後の経営改革や投資に対する柔軟性があると評価されています。
株主への影響と対応策
今回の業績予想の下方修正と特別損失の計上により、株主への影響も懸念されています。特に、配当政策の見直しや株主還元策の変更が検討される可能性があります。
同社は、株主との対話を重視し、今後の経営方針や成長戦略について積極的に情報開示を行う姿勢を示しています。また、株主総会においても、経営陣からの説明や質疑応答の機会を設け、株主の理解と信頼の獲得に努める方針です。