2025年5月20日、東京株式市場で日経平均株価は前日比713円10銭高の4万281円16銭で取引を終え、約5カ月ぶりに4万円台を回復した。この上昇は、円安進行や企業の自社株買いが背景にあるとされている。
円安進行と企業の自社株買いが支え
日経平均の上昇には、円安進行が大きく寄与している。ドル円相場は1ドル=157円台後半で推移しており、輸出企業の業績改善期待が高まっている。また、企業の自社株買いも株価を下支えしている。2024年には、企業による自社株買いが7兆8000億円に達し、海外投資家の売り越しを吸収している。
海外投資家の動向に注目
一方で、海外投資家の動向には注意が必要だ。2024年の初めから12月第3週までに、海外投資家は現物と先物を合わせて5兆円以上売り越している。これは、2023年の約6兆円の買い越しから大きく転じたもので、日本株への投資熱が冷めつつあることを示している。
企業のガバナンス改革と収益性向上が鍵
日本企業は、ガバナンス改革や収益性向上に取り組んでおり、これが海外投資家の関心を引き戻す可能性がある。カナダ年金制度投資委員会(CPPIB)は、日本企業のガバナンス改革や収益性向上を評価し、今後数年で日本株への投資比率を1〜2ポイント引き上げる方針を示している。
個人消費の回復と消費関連株の動向
また、2024年の春闘での賃上げの影響で、個人消費の回復が期待されている。これにより、消費関連株の上昇が予想されている。UBS証券は、消費関連株が出遅れ業種として巻き返す可能性があると指摘している。
今後の見通し
日経平均の4万円台回復は、円安進行や企業の自社株買い、海外投資家の動向などが複合的に影響している。今後は、企業のガバナンス改革や収益性向上、個人消費の回復などが株価の動向に影響を与えると見られる。また、海外投資家の動向にも注目が必要だ。
日本株市場は、引き続き内外の要因に左右される展開が予想される。投資家は、企業の業績や経済指標、為替動向などを注視しながら、慎重な投資判断が求められる。